上遠野浩平の事件シリーズ最新刊。魔法の効果が4分の1以下に抑えられるという特殊な街、禁涙境。この街で起きた幾つもの事件、それぞれはまったく無関係のように見えていたが、その絡んだ糸はある人物に収束していた。この話はここが禁涙境と呼ばれる街となったところから、その崩壊までを書いた話である。 これまでの作品で出てきた人物が数多く登場し、読者を楽しませると共に、新たに登場した人物がどれも気になる存在に仕立てあげられている。紫骸城事件で亡くなった魔術師ニーガス・アンガーがここにきて好感を持てる人物へと変貌したのには驚いた。ブギーポップでも同じように、なんでもない魅力のない大して気にもならない人物が後の刊で公開された過去によって好感を持てるようになった、といったことがあったのを思い出した。 今後の展開として特に、ミラル・キラルが七海連合に提案した事項によって、"残酷号"がどのように動くのか、次回『残酷号事件』の展開が大いに気になる。が、次回作が出るのはどれほど先なのだろう、と考えると軽く眩暈がするのだった。
by hige_thief
| 2005-01-19 16:18
| 読書
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